施 工 事 例

全焼した実家を「負担の土地」から「売れる資産」へ|解体費用と売却までの流れ(上毛町)

プロフィール


株式会社田口組
福岡県内、最も小さな町、吉富町で昭和33年から地域に根ざす建設会社。
鉄骨鳶工を経て、足場鳶工と土木工事を主に行い、新たな取り組みや施工方法にもどんどん挑戦している。
どんなに小さな仕事でも”この町で一番、信頼される仕事を。”合言葉に施主様と綿密にコミュニケーションを取り仕事を進める。
18〜27分

「全焼した実家を解体したいと考えています。
このまま税金だけ払い続けることになるのが不安で…」

HPの相談窓口からきたメッセージでした。
相談者は東京在住で上毛町の全焼した家の解体を希望しているようでした。

詳しく話を聞いてみると、最終的には解体後に”土地を売却したい”という目的こそあるが、
解体費用がネックになり、なかなか依頼するまでに至っていないということでした。

全焼した家の解体費用は一般的には相場よりも高くなります。
”焼けた木”は焼却処分ができないため、処分料が4倍近くまで跳ね上がります。

相談者も、今までの複数社に見積もりを依頼してみたものの、その金額に驚かされ解体工事を断念してきたようです。

今回の例に限らず、上毛町で家の解体費用や、その後の土地活用に悩まれている方は多いと思います。

しかし諦めるにはまだ早いです。
実際に他社との見積もり金額におよそ50万円~100万円(※実際の金額をぼかすために広い表現を使用しています。)の差をつけて、
最後の売却益が当初想定よりも良くなった。という当該工事の事例を紹介します。

1. 全焼した家の解体費用は、なぜ高くなるのか

大前提として、全焼した家の解体費用は必ず高くなります。
なぜならば、廃木材の処分費が 4 倍に膨れ上がるからです。

焼けた木は、再利用できない。」というのが費用が高くなる原因です。

火事全焼解体現場の実際の写真。焼けた木の運搬状況
※実際の現場写真。焼けた木の運搬状況。芯まで燃えて無くても、少しでも焼けていれば焼けた木として処分されます。

通常、解体工事で処分する廃木材といわれる、再利用できなさそうな木材でも、チップ等にして再利用するため、処分費用は抑えられています。

しかし、焼けた木はチップ等にして再利用することができないため、処分費用が高くなるという構造です。

廃木材→再利用としての処分→安い
焼けた木→再利用なし。最終処分→高い

相談者の家も例外ではありませんでした。
家の9割近くは形がなく、処分する木材はすべて焼けた木として処分するしかない状態でした。

2. 上毛町で解体費用に差が出る理由

相談者の方は、どの会社にお願いしても、相場よりも高い解体金額に驚くばかりでした。
それもそのはずです。本来この地域での解体工事の相場は、30,000円/坪がベースです。

ところが火事にあった家の相場は、48,000円~60,000円/坪がベースとなるからです。

中にはおそらく、現地も見に行っていない人もいたのかもしれません。
そのまま坪数に50,000円を掛けただけの見積書もあったそうです。

しかし、弊社は依頼の問い合わせがあったその日に、担当者が現地を確認し写真を撮影してきました。
その写真をもとに、相談者と実際にどこからどこまでをどうしてほしい。という細かい依頼内容を聞いて見積もりをしていきました。

火事全焼地。実際の現場写真
※実際の現場写真。建物として残っている部分はほとんどなく、分別と処分が主な仕事となることを確認しました。

またその後に土地の売却もベースに考えているという話から、できるだけ安く解体費用を抑えたいという相談者の希望を第一に考えて見積もりをしました。

見積書を出したときに、相談者から返ってきた言葉は
「こんなに安くていいのでしょうか….」という言葉でした。

確かに、そのまま坪数と火事家解体相場をかけてから、見積もりをだすと、ものすごい金額になります。
しかし、実際に現地をよく見てみると、しっかりと形が残った燃えた木もありましたが、燃え落ちている木の殆どは形も残らないほどに焼けた灰でした。

なので、本来の見積もり手法である、工事種目単価に工事数量を掛けて出していく見積もり方法ではなく、実際にかかる工数と処分代、機械代など、実質負担となる金額から見積金額を算定しました。

解体費用を抑えることは、“売却時に手元に残る金額を増やす”ことにもつながるからです。

3. 着工前の取り決め。「追加費用の有無」について

相談者が遠方からの依頼ということもあり、細かいところまでそのほぼすべてのやり取りをメールにして残すようにしました。

お互いにとって、工事後のトラブルを避けるために必要な工程です。

今回、相談者にとって最も心配だったのが、
「最初は安い見積もりで、後で理由をつけて高い請求をされるのではないか」
という心配でした。

そのため、普段からの弊社のルールについて説明しました。
見積もりに上がっている工種や工程以外の作業が発生する場合には、その理由と金額をあらかじめ明示し、相談者からの決定があった上で再見積もりを提出してから着工する。

ということです。

弊社ではどんな工事においても
”事前に取り決めのない追加費用は発生しない”ということが前提にあります。

当たり前のことなのですが、どうやらそうではないケースが全国にはゴロゴロ転がっているようです。

最初の見積金額より、事前告知や説明無しに請求金額が高くなっている。なんてことがまかり通るようなら、もうなんでもありじゃないかと。

今回に限らずですが、追加費用に関するルールを理解してもらった上でご依頼をいただきました。

4. できないことは”できない”とはっきり伝える

現場の状況によっては、お客様の希望をすべて叶えられないときがあります。
今回の解体工事も、そのような場面に遭遇しました。

見積もりの段階で、敷地内には、生木が複数生えていることが確認できており、伐採抜根処理をする旨とその見積もりを出していました。

しかし、一番大きな木が道路側溝の際に面して生えているのが問題でした。
その木の伐採をすることはできますが、抜根まですると、隣り合う側溝を壊してしまう可能性が高かったので、
「抜根による側溝の破損の恐れがあるので、根本で伐採した後に、除草剤を注入し土を被せて時間をかけて枯らせる方法を取ります。」

火事全焼解体現場の実際の写真。伐根できない木
※実際の現場写真。右側の太い木。隣接する側溝はもちろん、ブロック塀下地の石垣も残してほしい希望があり、伐根は無理だと判断しました。

とお伝えし、それに納得していただき着工しました。

弊社ではこのように、発生する可能性のある事由を事前にお伝えし、その後の処理の仕方や、工事が終わった後にどうなっていくのか。ということまでを説明したうえで、代わりの工法を提案していきます。

5. 嬉しい想定外「抜根できそうです。」

さて、対象となる道路側溝の際に立つ木ですが、
抜根をしないことを前提に解体工事を進めていたのですが、切り株を重機で触ってみると、
「あれ、今少し動いたよ。」

そんな声が聞こえてきました。
実際この木はもともと、切り株から想像するよりも大きな木で、全長 5 ~ 8m 近い大きさの木でした。

そんな大きな木の根が浅いわけありません。
たいして大きくないもない重機で少し触ったぐらいで切り株が動くなんて考えられません。
それならもっと早くに倒木している可能性が高いからです。

しかし、現場では信じられないようなことも起こります。
そんな大きかった木の切り株の根は、注意深く見てみると浅く石垣を貫けずに途中で止まっており、全体的にも根が短く、細かったのです。

火事全焼解体現場の実際の写真。伐根できない切り株
※実際の現場写真。写真ではわかりづらいが、大きかった木の割には全体的に根が途中で止まっている様子で短い根であることを確認しました。

また打合せの段階から解体後には土地を売却したいという依頼者の希望から、
売却時に“地中に根が残っている土地”として説明が必要になることを考えると、抜根できるかもしれない、この根を、放置しておくことはできないと思いました。

少々強引でも抜根をした方がいいと判断した私たちは、根本の土を掻き出し手鋸を使い根を 1 本ずつ切りました。
さらにグラグラしてきた切り株を重機で引っ掛けると案外綺麗に抜根することができました。
もちろん当初心配していた、切り株に隣り合う側溝も損壊せずに抜根することができました。

6.当初の見積金額のまま完工。土地はわずか半年たらずで売却

抜根できたのは良かったのですが、根が石積に絡まっており、石積塀を損壊してしまいました。

ですが、自分たちの施工で壊したものですから、自分たちの実費費用で補修工事を行い、元の形と同じように復旧し補修工事を行いました。

火事全焼解体現場の実際の写真。復旧後の石垣
※実際の現場写真。復旧後の石垣。

当然これらの抜根から石積塀の補修工事は、当初の根枯らし工法よりも工数、材料費、手間、処分費用と金額が変わってきますが、
事前に告知のない作業になるため、請求の対象外です。

当初の見積金額にて工事を終了しました。

工事が終了して半年後ぐらいに、その道を通ると、なんとすでに新築の家が立ち始めていることに気づきました。

いつ土地の売却が成立したかなどの詳細はさすがにわかりませんが、おおよそわずか半年足らずで、売却をしていることが確認できました。

最後に。

今回の事例は、単に「解体工事を安く済ませた」という話ではありません。

大切なのは、
その工事の先にある“目的”をどこに置くかです。

今回のご依頼では、
「解体すること」自体が目的ではなく、
👉 “土地を売却し、これ以上負担を増やさないこと”が本当の目的でした。

そのために、
どこまで工事を行うのか
どこに費用をかけるのか
どこはあえてやらないのか

一つひとつを打ち合わせしながら決めていきました。

全ては“ただ解体する”のではなく、“売却しやすい状態にする”ことのためにです。

また、工事中も
想定外のことが起きたときにどう判断するか、
その判断が最終的にどんな結果につながるのかを考えながら進めています。

工事は「終わらせること」がゴールではありません。

👉 その後の未来がどう変わるかまで含めて考えることが、本当の意味での工事だと考えています。

結果として、この土地は解体後わずか半年ほどで新しい持ち主が決まり、
新しい家が建ち始めていました。

同じように、
遠方にある実家で悩んでいる方
解体するべきか迷っている方
費用と今後の使い道で悩んでいる方

そういった方にとって、
この事例が一つの参考になれば幸いです。

“まだ解体するか決めていない”という段階でも大丈夫です。
まずは、今の状況を教えていただければ、
一緒に最適な進め方を考えていきます。

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